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センターについて
日本造血細胞移植データセンターは、国内で行われた骨髄移植、さい帯血移植などの造血細胞移植の患者・ドナーデータを収集し、解析します。これによって、移植実施状況の正確な把握、移植成績の公表、造血幹細胞移植の臨床研究の推進に貢献し、造血幹細胞移植医療の向上をめざします。
目的
造血細胞移植を受けた患者、並びに造血細胞を提供されたドナーの情報を収集し、集計・解析することにより、治療成績および安全性の向上を図り、よって患者およびドナーの福利に資するとともに、広く造血細胞移植の研究、教育、および診療の向上を図ることを目的とする。
役割
- 造血細胞移植患者における臨床成績の集計・解析・評価・公表
- 造血細胞提供ドナーの健康情報の集計・解析・評価・公表
- 造血細胞移植臨床研究の推進
- 国内外の関連組織との交流
事業内容
第一部門(登録):造血幹細胞移植患者・ドナー情報登録事業
- 造血細胞移植全国調査
- 造血細胞移植データ一元的集計・解析事業
- ドナー事前登録・フォローアップ事業
- 市民向け情報提供
第二部門(研究):造血細胞移植研究事業
- 全国調査データを利用した研究/研究支援
- 二次調査を伴う臨床研究/研究支援
- 造血細胞移植臨床研究の統計解析
ご挨拶
Alone we can do so little; together we can do so much.
日本に先んじること30年、欧米ではInternational Bone Marrow Donor Registry (IBMTR, 現 CIBMTR)、European Bone Marrow Transplantation Group(EBMT)が造血細胞移植に関わるデータの一元化に取り組み始めていた。一方で、様々な造血幹細胞移植のデータを収集する事について懐疑的な意見も多かった。私自身1986年に東京で開催されたISEH(国際実験血液学会)総会で、当時世界最大の造血幹細胞移植施設だったFred Hutchinson Cancer Research Center(FHCRC)の移植医が、IBMTRのデータ報告をしたR.P.Gale博士に対し、「そんな寄せ集めのデータで何が言えるのか」と懐疑の念とともに批判していた事を鮮明に記憶している。しかし、その後IBMTRは批判に萎縮することなく着実に造血幹細胞移植に有用なデータを積み重ね、今日まで移植医療において不可欠なエビデンスを発信し続けている。
翻って日本では、日本小児血液学会(現 日本小児血液・がん学会, JSPHO)、骨髄移植推進財団(現 日本骨髄バンク, JMDP)、日本さい帯血バンクネットワーク(JCBBN)、そして日本骨髄移植研究会(現 日本造血・免疫細胞療法学会, JSTCT)が各々の領域での造血細胞移植データ収集を開始していた。しかし、前述の欧米のように統一されたデータベースの設置には至っておらず、それぞれの組織で収集したデータの重複や、横断的な解析が困難であることなど多くの課題があった。そこで、これらを克服し日本における造血幹細胞移植の現状と成果を把握する目的のもと、2006年に造血細胞移植登録一元管理プログラム(TRUMP)が基盤として整備された。そして、2013年にJDCHCTが事業体となり、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」下で、日本の造血細胞のデータの要として活動を行っている。2015年には第2世代のTRUMPが導入されるなど、近年に至って目覚ましい発展を遂げている。これまでは海外のデータベースが論文の基礎になっていた日本の学会でも、TRUMPデータを活用した論文が次々と発表され、JSTCTの移植関連ガイドライン作成に大きく貢献していることからもそれは明らかだと言える。
このように、欧米に遅れること30年ではあったが、この10年で日本の造血細胞移植データベースは著しく躍進した。しかし、少子高齢化が進み造血幹細胞移植のドナーの確保や移植医療の安全性と有効性の向上など、これまで以上に重要となってくる。また、CAR-T細胞に代表される抗原特異的リンパ球、体外増幅による造血幹細胞移植など、移植を取り巻く環境も日進月歩の様相を示している。それらの進歩の成果を正確に捉え、上記の課題を解決するために、real worldのデータを提供する我々JDCHCTの役割は今後益々重要になってくるだろう。バラバラだったデータが一つにまとまり、表題のHelen Kellerの言葉のように多くの事が成し遂げられてきたのがこの10年ならば、次の10年はその成果をさらに飛躍させ、より多くの患者さんに伝えるmissionにさらに真摯に取り組むものとなる。日本の移植医療を担う一つの組織としてJDCHCTがその一助となれば幸いである。
代表理事 岡本 真一郎
10周年記念誌
設立10周年の節目を迎えるにあたり、当データセンターにとって初めての周年記念誌を2023年12月25日に発行しました。
「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」の前身となる各調査の始動から一元化、そして当データセンターの設立を経たこれまでのあゆみ、現在の取り組み、そしてこれからの展望をご紹介できる一冊として、ご覧いただけましたら幸いです。
組織
日本造血細胞移植データセンター組織図
理事・監事(2024年6月現在)
理事長 | 岡本 真一郎 | (慶應義塾大学) |
理事 | 熱田 由子 | (日本造血細胞移植データセンター・センター長) |
石丸 文彦 | (日本赤十字社) | |
一戸 辰夫 | (広島大学原爆放射線医科学研究所) | |
加藤 光次 | (九州大学大学院医学研究院) | |
諫田 淳也 | (京都大学大学院医学研究科) | |
田渕 健 | (日本造血細胞移植データセンター) | |
豊嶋 崇徳 | (北海道大学) | |
新國 信一 | (NordicNinja VC Limited) | |
福田 隆浩 | (国立がん研究センター中央病院) | |
監事 | 鎌田 麗子 | (弁護士法人ALG&Associates) |
高見 昭良 | (愛知医科大学医学部) |
委員会
造血細胞移植登録一元管理委員会
規約類は、「研究関連」ページ内、「造血細胞移植登録データ利用申請」に掲載されています。