二次調査を伴う臨床研究

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同種移植後に発症するフサリウム症の臨床的特徴と予後予測因子

研究の目的

 新しい血液疾患治療薬や移植片対宿主病(GVHD)治療薬などによる移植成績の改善で、免疫能の低下した状態で長期生存される患者さんが増えること、新規抗真菌薬の使用による選択圧などにより、今後、フサリウム症を含む新興真菌感染症が増加することが予想されるが、稀な感染症であるため、これまでの国内での臨床的な報告は主には症例報告にとどまる。
 本研究では、移植登録一元管理プログラムのデータを用い、同種造血細胞移植後にフサリウム症を発症した症例の臨床的特徴をまとめ、予後予測因子について解析を行うことで、同種移植後に発症するフサリウム症の予後改善に向けた有用な情報になると考える。


研究の方法

  • 二次調査の対象

    (1)対象者
     日本造血・免疫細胞療法学会(JSTCT)および日本造血細胞移植データセンター(JDCHCT)が実施する「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」のデータベース (TRUMP) に登録された症例

    (2)選択基準
     1) 2006年1月~2021年12月の期間に同種または同系ドナーより造血細胞移植を実施され、全国調査に登録された症例
     2) 「その他の真菌感染症_その他の真菌感染症の有無」が有、その原因真菌がフサリウムと報告されている、あるいは「その他の感染症1」~「その他の感染症5」が「有」で「病原体」としてフサリウムが報告されている症例

    (3)除外基準
     「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」登録データの研究利用に不同意の症例

  • 二次調査項目

    1) 背景(診断的検査実施日の状況:検査実施日、好中球減少、好中球回復、副腎皮質ステロイド使用、免疫抑制剤使用)
    2) 検査情報(検体の種類、フサリウム同定方法、同定したフサリウムの菌名、フサリウム以外の病原体による混合感染の有無とその種類、βDグルカン、ガラクトマンナンの推移)
    3) 病態及び治療情報(推定発症日、感染巣、推定発症日に投与されていた抗真菌薬、フサリウム症に対する初期治療薬、初期治療開始日、治療不応性・不耐容による治療変更、G-CSF投与、顆粒球輸注、フサリウム症に対する治療の最終的な治療効果、治療終了日)

  • 調査方法

     JSTCT/JDCHCTが実施する「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」の2022年度全国調査までにTRUMPレジストリに登録され、「選択基準」を満たし「除外基準」に抵触しない症例を調査対象とする。JDCHCTより参加施設へ二次調査票が送られる。参加施設では「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」登録時に付与された匿名番号である造血細胞移植登録一元管理番号(一元管理番号)と移植日から調査対象を同定し、既存のカルテ資料から二次調査票に必要な情報を記載の上、JDCHCTに二次調査票を返送する。「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」で収集されたデータおよび二次調査票データは、JDCHCTにてさらに別の匿名番号(匿名ID)が付与された上で研究責任者に送付される。二次調査票にて、移植施行症例の診断時情報、移植前治療、移植情報、移植後治療、予後についての情報を収集する。同種移植後の一般的な情報についてはTRUMP報告されているデータを用いる。


研究期間

  • 臨床研究等許可決定後~2026年3月31日まで

調査期間

  • データ収集期間: 2026年3月まで
  • 二次調査票(ダウンロードいただくには、JDCHCT HP のWeb認証が必要です。)

研究計画書


倫理審査結果通知書


研究組織

GVHD以外の移植合併症ワーキンググループ

研究責任者
自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科 木村 俊一

WG責任者
神戸大学 腫瘍・血液内科 薬師神 公和

共同研究者
自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科 仲宗根 秀樹
東京医科歯科大学 血液内科 森 毅彦
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 輸血部 森 有紀
国立がん研究センター東病院 感染症科 冲中 敬二


個人情報について

 TRUMPを用いた造血細胞移植医療の全国調査では、個人情報を保護するため、研究対象者の氏名、現住所、電話番号を取得していない。施設内での研究対象者の同定のため、施設内でのみ患者氏名やカルテ番号情報との連結がTRUMPにて可能となっている。本研究では、二次調査対象施設において一元管理番号を用いて調査対象が同定される。二次調査票データは、JDCHCTにてさらに別の非識別化番号が付与された上で研究者の施設に送付される。データセットは研究者の手元に届いた段階では、上記のように二重に非識別化されている。臨床データセットはパスワードを設定したファイルに記録し、USBメモリに保存して、研究事務局において鍵の掛かるキャビネットに保管する。本研究の結果が公表される場合にも研究対象者のプライバシー保護に配慮する。


問合せ先

木村 俊一
自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科
〒330-8503 埼玉県さいたま市大宮区天沼町1-847
TEL: 048-647-2111


〒480-1195
愛知県長久手市岩作雁又1番地1 愛知医科大学内
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